今日の聖書箇所は、オリーブ山での祈り(ゲツセマネの祈り)の直後です。いな、直後というよりも、まだ話している途中でした。47節です。とても有名な、接吻による裏切りです。ここで実際に接吻したかどうかは議論のあるところですが、あまり重要ではないでしょう。


 そして主イエスは仰います。48節です。そのものずばり、言い当てます。周りにいた弟子たちは動揺したことでしょう。49・50節です。耳を切り落とす行為は、計画的なものではなくて、混乱して、してしまったのでしょう。主イエスは直ちにこの耳を癒します。51節です。


 そして主イエスは、捕らえにきた人々が反論できない指摘をなさいます。52・53節です。この頃、主イエスは、毎日神殿の境内で教えておられました。だから、簡単に逮捕することもできたはずです。しかし、権力者の人々は、群衆を恐れて、群衆のいないところで主イエスを捕らえようとします。


 今日の聖書箇所で出来事の背後にあるのは、恐れ・恐怖です。弟子たちは緊迫した状況で恐れます。権力者の人たちも群衆を恐れています。主イエスは、この状況を「今はあなたたちの時で、闇が力を振るっている」と仰います。闇が力を振るうとき、正義は--前回みたような築いた葦を折らず、灯火を消さないような正義は--表立って働きません。だからこそ、主イエスは十字架に死んで、私達の罪を赦し、闇が力を振るうのを許さず、新しい地平を開きます。ただし、私達人間の罪によって、今もなお闇が力を振るっているようにしか見えない現実があります(戦争など)。しかし私達は、主の正義・神の平和が勝利することを信じてよいのです。