今日の聖書箇所は、ひたすら名前が出てきます。ヨセフに至る系図です。今日は三つのことに着目しましょう。まず第一に主イエスが宣教をはじめられた三十歳ということについて。次に、ルカがこの系図を書いた意味です。そして最後に、一番最後、「そして神に至る」です。

 まず第一に三十歳という年齢ですが、これは成人(日本では最近まで二十歳、今は十八歳、またかつての元服は十五歳位)よりも更に年を経てということです。例えば、ダビデが即位したのもこの位ですし、預言者エゼキエルが活動をはじめたのもこの位でした。私は二十六歳で神学校を終り、三十一歳ではじめて主任担任教師になりましたので、最初久里浜教会でよく申しましたことは、ちょうど今の私くらいの年に主イエスは宣教をはじめられたということです。主イエスが宣教開始をなさるのに、神の子であり、神なのですから、準備期間が必要だということはないでしょう。しかしこの点でも、主イエスは完全に人間になられたのであって、私達が何かをはじめるときに準備期間が必要なように、三十歳まで準備をなさいました。

 次に、ルカがここに系図を書いている意味です。それは幾つもあるでしょうが、ルカは主イエスが聖霊によって宿ったことと同様に、アダム、ダビデの系図、ヨハネの子としてお育ちになられたことを大切に考えました。それは、主イエスが私達人間の罪の系譜に連なり、そうして罪を赦す救世主であられることを示すためです。

 最後に、「神に至る」の意味です。アダムは罪を犯し、そこから、罪が人類に入りました。しかし、その罪人アダムから既に、神に連なります。神の子、主イエスによって私達もまた神の子とされ、「神に至る」のです。