今日の聖書箇所前半は、いわゆる断食問答です。33~35節です。ヨハネの弟子たちやファリサイ派の人々はよく断食をしていました。当時のユダヤ教で三つの徳のある行いの一つにこの断食は数えられていました(断食、祈り、施し、マタイ6章参照)。しかし主イエスとその弟子たちはあまり断食をしなかったようです。それどころか、今日の聖書箇所ではレビと共に宴会をしています。それは、花婿である主イエスがおられるからです。いくら断食が素晴らしいことだといっても、結婚の宴にはそぐいません。
そして主イエスは例えを語られます。後半、36~39節です。新しいものと古いものは合わないという話です。現代では、服に継ぎ当てをすることも珍しくなりましたが、古い服と新しい布ではあいません。また革袋にぶどう酒を入れること自体、事柄として分かりませんが、かつてはそうしたのでしょう。そしてここに描かれているような失敗は実際にあったのでしょう。他の福音書にはないルカの特徴は最後の39節です。これは、古いぶどう酒がよいと語っているのではありません。私達人間の罪の現実として、古いものを好むのだということです。罪にまみれた私達が主イエスに招かれるならば、そこですべきことは古いものを捨てて(漁師たちやレビのように)、新しく主イエスに従っていくことです。しかし、古いものを捨てられないで古いものにしがみついてしまう。新しいからよいとか古いからよいとかそういう価値判断はありませんう。ただ、私達は私達自身が新しい革袋となって新しい主の福音を中に入れていくことが必要です。